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東京都中学校体育連盟柔道競技部
部 長 髙橋 健司
部長に就任して4年目、全国の子どもたちに、よもやこのような災難が降りかかってくるとは想像もし ていませんでした。本来ならば、今日は第32回オリンピック競技東京大会柔道競技第3日目を迎え、全国の柔道ファンを熱狂させていたところでしょう。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で2月末、突然の臨時休業でした。卒業を控えた3年生たちは、中 学校生活最後の集大成を発揮する諸行事の機会を奪われました。1,2年生は、お世話になった3年生を誠実に送り出す取組を満足に行うこともできなかったと思います。新年度を迎えた矢先の緊急事態宣言の発令で、入学式を含め、年度当初に必要な教育が実施できなかったことは、学校として非常に大きな打撃でした。指導者たちも経験のない事態に為す術もなく、右往左往し、ただただ無念でした。
生徒も教職員も傷心の中、4月末に第51回全国中学校柔道(静岡)大会、第45回関東中学校柔道(群 馬)大会、そして第59回東京都中学校総合体育大会柔道競技大会の開催中止が発表されました。やり場のない悲しみに、胸が張り裂けそうな思いをした方々の顔が、今でも浮かびます… 。
6月より緊急事態宣言が解除され、社会生活や経済活動の再開とともに、中学校の現場は分散登校や時 間差登校を経て、ようやく平常の活動が営まれるようになりました。部活動も自治体の活動指針に差異はありますが、全競技にわたり、3密に気を遣いながら活動が再開されています。
臨時休業からちょうど5ヶ月が経ちました… 。自粛期間を含め、学校再開後、柔道指導者や柔道部員 たちはいかに過ごされてきたでしょうか。
指導者の方々へ
柔道部活動での「学び」を活かし、誇りをもたせ、他の生徒の模範となるような行動をとらせることは、 教員として、顧問として、真剣に指導してきた者ならば当然のこと。3年生部員を含め、先の動向に不安があるでしょうが、変わることのない誠実な指導をよろしくお願いいたします。
保護者の方々へ
日頃より厚いご支援、ご信頼をいただきながら活動できることに対し、深く感謝申し上げます。あり がとうございます。お子様のこれまでの取組や努力してきた姿を目の当たりにしてきたことと思います。3年生部員の悲しみの大きさは計り知れません。成果を発揮できる大会を失った今、義務教育競技団体として可能な限り、代替事業を考えていこうと思っております。ご理解とご協力をお願いいたします。
柔道部員たちへ
この期間、指導者の「教え」を基にして、謙虚に誠実に努力してきたでしょう。いつかいつかと待ちわ びながら、黙々とトレーニングをしていた君たちの姿が目に浮かびます。試合もなくなるんじゃないかと不安の中、それでも鍛え続けていたことと思います。3年生は努力の末、苦しい思いをして得た競技力の向上を実感したり、先輩や後輩とのふれあいを通じて感謝の気持ちを学んだりしたことと思います。メインの大会中止の報告を聞いた君たちの心境を察すると慰めの言葉もでませんが、この気持ちを後輩にどう託していくのか、1,2年は都新人大会に向けて、3年生は柔道部員としての誇りを最後まで忘れず、後輩とともに活動に励んでください。
柔道は濃厚接触競技です。コロナ対策を万全に整えても、感染ゼロは容易に果たせません。「正しく」 恐れてその徹底を図り、世の情勢を「正しく」判断して諸事業実施に向けて施策を進めてまいります。
「おのれをつくしてなるをまつ」
嘉納治五郎師範の教えである「精力善用」「自他共栄」、改めて実践のときであると実感しています。